複雑さに挑む社会心理学―適応エージェントとしての人間 (有斐閣アルマ) - - スウィートアイテム
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明解な視点
(2007-01-28)
人間は社会的動物である。とするなら、その社会性をどのように説明できるだろうか。この問いに、社会心理学は仮説形成と実験という実証的なアプローチによって社会・集団・個人のレベルでの「人の社会行動を究明する」ことで答えてきた。そして、本書は社会心理学史上のさまざまな応答の蓄積を「適応論的アプローチ」と「ミクローマクロ関係」の2点から整理する。
社会のレベルでは、《1章》社会的促進、社会的影響、影響発現のメカニズム、影響の発信源といったテーマを究明するが、たとえばシマウマ群の逃走行動を乗数プロセスで探ることなどに、マクロ視点からの切り口があったりする。集団のレベルでは、《2章》社会的交換とその原理的問題、応報戦略、共有地の悲劇。また《3章》協調行為、グループによる問題解決、グループの意志決定、話し合い行為というテーマを究明するが、たとえば社会的交換での囚人のジレンマはゲーム理論の応報戦略に、また話し合いという協調行為はステイサーの情報サンプリング論に数理演繹的な仮説形成がみえる。以下、《4章》で文化的な社会現象を、また個人のレベルでは《5章》個人の心理である感情や他者の社会的認知を、《6章》個人による集団の認知を、それぞれ説明するが、各章で適応論的アプローチが示される。
全体として説明の明解さが本書を美しいものにしている。しかし、適応論的視点とはけっきょく機能主義であり、たとえば自殺などの逸脱現象をどのように説明するのか(逆機能?)。また、group fallacyは「集団錯誤」の定訳より「集団論的誤謬」としたほうがより明解であるように思える。
進化心理学のパラダイムで学べるこれからの社会心理学
(2004-09-14)
雑多な事実を詰め込んで、個人→対人→集団と並べたものでしかなかった社会心理学を、進化心理学のパラダイムは、こんなにも見通し良く整理してしまった。
十数年後には、こんな形で心理学を学ぶのが当たり前になっているかも。
有斐閣アルマはとても見やすい
(2004-01-19)
会社法とこの社会心理学の本を見ましたがこの有斐閣アルマのシリーズは大変読みやすいと思います。文字の大きさが小さすぎないこと、図が程よく使われていること、体系がしっかり確認できるためです。
内容はよくても文字が小さくたり、図がまったくかかれていないというのが大学の教授が書いた教科書の一般的なものですが、わかりやすさ読みやすさという点では特に大学生にこの有斐閣アルマをお勧めします。
さてこの本のないようですが、いささかこっけいな感じもしますがキノコ型ロボットの例をうまく使っております。しかしキノコ食いロボットの例が出てくるからといってもいい加減な本ではありませんでした。また、協力ゲーム、非協力ゲームについて説明しているあたりはわれわれが生活していくうえで非常に参考になりました。人間という集団も無意識的な習性というのがあってほかの動物と変わらないんだなというのが個人的なですが感想です。
最高の社会心理学入門書
(2003-01-21)
僕の知る限り最高の社会心理学入門書.社会心理学を外の視点からもとらえているところがすばらしい.前書きがただの挨拶ではなく読み方の案内になっているところ,くわしい読書案内とサマリーなど,アメリカスタイルの構成は大変わかりやすい.
構成上の特徴は,集団の社会心理学,いわゆるグループダイナミクスに重点をおいて解説していることである.そのためよくある教科書と比べて個人の認知に割かれている量は少ない.これについては賛否両論だろうが,僕はこの構成がこの本の内容をダイナミックで示唆深いものにしていると思っている.
高校生から大学院生まで,心理学に興味がある人になら自信をもって薦められる名著.


